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2012年2月7日

カラオケはどのような経緯で日本の巨大産業となったか

執筆者:夢前黎

 

1.【初めに】

 
 先日、中学時代の友人と会う約束をするためにメールをしていたところ、「そういう時に行ける場所はカラオケくらいしかない」という意見が出た。その時私は、私たちの生活の中でカラオケが特殊な地位を持っていることに気付いた。
 日本はカラオケ発祥の地であり、現在は外国にもカラオケがあると聞く。一般人が気軽にプロの歌手のような環境(マイク、伴奏)で歌えるようになったというのは、20世紀に生まれた新しい音楽文化の中でも、一般人の生活に大きな影響を与えたことの一つではないだろうか。考えてみれば、原始時代には自分専用に作られた歌を歌って売るようなプロの歌手などおらず、皆が歌うことを共有していたはずなので、現在のカラオケ文化はかつて皆が平等に歌っていた頃に戻ろうとする力が働いた結果なのかも知れない。
 本レポートでは、どのような経緯でカラオケが日本の大きな産業の一つとなったのか、何故ここまで人々から必要とされているのかについて考える。

 

 
2.【調査と考察】

  

 

2-1 私がカラオケについて思うこと


 大声を出すことを禁じられた現代社会において、周りを気にせず騒げる娯楽施設は、思いつく限りカラオケしかない。カラオケは比較的安価で身近な上、公的な場であるレジャーランドなどと違い、社会的な抑圧から解放されて自由に過ごせる。利用者はただ歌うためでなく、「騒げるプライベート空間」を求めてカラオケに行くことがある。ストレス発散や歌の練習のために一人でカラオケに行く「ヒトカラ(一人カラオケ)」の登場は、自宅という最大のプライベート空間でさえ大声を出す自由がないということを物語っている。
 また、同じ「音楽を楽しむ」という目的を持つコンサートとも異質である。コンサートでは演奏者と聴衆が明確に分かれているが、カラオケでは歌い手と聞き手が立ち替わり入れ替わりし、時には合唱することもある。カラオケでは誰もが歌手であり、マイクを持っている時は皆の注目を浴びる。カラオケには「手軽にできる歌手ごっこ」という一面もあるように思われる。
 多くの人にとってカラオケは、「大声を出せる」「歌手ごっこができる」という点では非日常の側に寄っているが、非日常と言うほど特別なものでもないため、カラオケで自己の解放を行うことについてそれほど引け目を感じずにすむ。日常と非日常の境目であるカラオケは、現代人にとってちょうどいい気晴らしとなっているのだろう。

 


2-2 カラオケの誕生と発展


 カラオケの歴史については、全国カラオケ事業者協会の公式サイトに掲載されている「カラオケ歴史年表」が詳しい。本項目では、以下のWEBページを参考にしてカラオケの歴史を概説する。


カラオケ歴史年表  (最終閲覧日:2011/11/24)
http://www.japan-karaoke.com/03nenpyo/index.html

 

カラオケ歴史年表解説  (最終閲覧日:2011/11/24)
http://www.japan-karaoke.com/03nenpyo/03_02.html

 

 1960年代後半、それまで主に軽音楽のBGM再生機として使われていた小型ジュークボックス(硬貨を入れて選択ボタンを押すと自動的にレコードがかかり、好きな曲が聴ける装置<注1>)にマイク端子が付くと、根岸重一氏(日電工業)らはそれを利用して、客が店で軽音楽に合わせて歌唱できるサービスを考案した。これがカラオケの前身である。
 国民皆唱運動を展開した山下年春氏(太洋レコード創業者)は、素人が歌いやすいようにアレンジした歌謡曲の伴奏を収録したミュージックテープを発売した。これは初のカラオケソフトと言える。
 1971年には、井上大佑氏(クレセント創業者)が、弾き語りで録音した伴奏テープ40曲分を、自作プレイヤー「8ジューク」にと共に店舗へレンタル提供した。店舗での使用料金は1曲5分間100円だったが、神戸市で人気を得てビジネスとして注目を集め、「70年代中ごろには全国に普及し、カラオケということばが一般に浸透した」<注2>。このことから、カラオケ事業の始まりは1971年と言える。
 それからというもの各社が技術やアイデアを競い、採点システムや、歌詞テロップと背景画像の映るモニタを見ながら歌える「映像カラオケ」などが発明された。特に、1985年に登場した屋外型カラオケボックスは、「手軽に低料金でカラオケが楽しめるとともに、個室内で他人を気にせず仲間だけで楽しめるという要素も相まって人気を博し」<注3>、カラオケは全国的なブームとなる。1993年には、文部省の『教育白書』に「我が国でもっとも盛んな文化活動はカラオケである」と記されるまでに至った。
 1990年代後半になると、カラオケボックスは供給過剰となり店舗数は減少に転じるが、「全国にカラオケボックスは1万2844店、カラオケ設置のバー、スナックなどは27万0095店、カラオケ導入のホテル・旅館等は1万5426軒(2000年3月、JASRAC調べ)あり、またカラオケの参加人口も5060万人(1999年、『レジャー白書2000』)にのぼっており、カラオケはたんなるブームではなく国民的娯楽として定着している」<注4>

  

 

<注1> ジュークボックス【jukebox】の意味とは - Yahoo!辞書  (最終閲覧日:2011/11/25)
http://dic.yahoo.co.jp/dsearch?p=%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9&stype=1&dtype=0

 

<注2> カラオケ - Yahoo!百科事典  (最終閲覧日:2011/11/25)
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%82%B1/
※小学館(1984~1989年)『日本大百科全書』の「カラオケ」の項と内容を同じくする。執筆者は多田義則。

 

<注3> 同上

<注4> 同上

 


2-3 海外でのカラオケ


 Karaokeは、現在では海外でも通じる国際語になっている。」<注5>

  「Britannica Online Encyclopedia」によると、カラオケは1980年代後期にアメリカで広範囲に渡る人気を得た。アメリカのカラオケは、モニタに映る歌詞を見ながら歌うという点では日本と同じだが、個室はなく、バーのステージで客が歌うという形式を取っている。私は今まで「カラオケ=個室」というイメージを持っていたので、海外では必ずしもそうでないのだということに驚いた。
 防音設備のある個室がないせいで、騒音問題が起きることもあるそうだ。イギリスでは、「最も重要と思いつつも最も不快に感じる発明品」としてカラオケが選ばれている。<注6>

  しかし、それでも欧米でのカラオケの評価は高い。カラオケ事業の先駆者である井上大佑氏は、イグ・ノーベル賞の平和賞を受賞した。イグ・ノーベル賞は「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞で、選考には本家ノーベル賞受賞者も加わる。<注7>
 井上氏を提携タレントとする株式会社エス・アイ・ピーは、受賞理由を次のように説明する。

 

「カラオケを発明し、人々が互いに寛容になる新しい手段を提供したことに対して。」つまり、カラオケで自分が歌う時には他人に苦痛を与え、また他人の歌を聞く時には、苦痛を耐え忍ばなくてはならない。その結果互いが寛容な心を持つことができるということだ。<注8>

 

 井上氏は受賞スピーチの際スタンディングオベーションを受けたが、主催者側によると「イグ・ノーベル賞が始まって14年、スタンディングオベーションは初めて」<注9>だったそうだ。このエピソードからも、カラオケの人気が伺える。

 

 

<注5> カラオケ - Yahoo!百科事典  (最終閲覧日:2011/11/25)
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%AA%E3%82%B1/
※小学館(1984~1989年)『日本大百科全書』の「カラオケ」の項と内容を同じくする。執筆者は多田義則。

 

<注6> (cache) 不快な発明、カラオケ1位 英国人の22%、政府調査で - 47NEWS(よんななニュース)
(最終閲覧日:2011/11/24)
http://megalodon.jp/2009-0109-0837-27/www.47news.jp/CN/200901/CN2009010901000036.html

 

 <注7> カラオケ発明者「井上大佑」イグ・ノーベル賞を受賞 S.I.P Corp. (最終閲覧日:2011/11/24)
http://www.sip-planning.com/karaoke/ignobel%20.html

 

<注8> 同上

<注9> 同上

 

 

2-4 何故カラオケは日本で生まれたか

 

 大竹昭子氏は、欧米ではなく日本でカラオケが生まれたことについて、以下の要因が影響しているのではないかと推測している。


・元々、日本人は歌うことが好きな民族だった。
・自分の考えを直接口にすることが憚られた日本の文化においては、歌は遠まわしに本音を伝えるための必要不可欠な表現方法だった。
・日本の音楽教育では歌唱が重視されるが、アメリカでは器楽の指導が主体である。
・江戸時代、寺子屋では小謡が教えられ、祝儀や集会では多くの謡が歌われた。また、シテ(能・狂言における主人公役)一人が地謡や囃子に包み込まれて陶酔できる仕方噺が好まれ、これはカラオケの雰囲気に近かった。
・突然入ってきた洋楽に馴染めず、劣等感を持っていたが、経済的な成長を遂げると気分にゆとりが出てきて、自分を表現してもいいという心境になった。


 そして、「眠っていた歌う快感が、テクノロジーの力によって意識化されたのではないだろうか」<注10>と考察している。
 また、大竹氏は、カラオケの誕生によって歌の「民謡化」が起き、必ずしもプロの歌手の歌い方を手本とするのではなく、歌い手に合わせてキーやピッチを自由に変えてよいという歌本来の在り方が一部蘇ったと考えている。

 

<注10> 大竹昭子(1997年)『カラオケ、海を渡る』筑摩書房p227

 


3.【まとめ】

 

 カラオケの誕生と、歌に関する日本の文化とは無関係ではないだろう。歌を通じて本音を伝え合うという説には納得した。私にも、どの曲をどんな風に歌うかによって歌い手の心中を察したり、自分の気持ちを表現したりすることがあるからだ。カラオケは単なる「歌手ごっこ」ではなく、一種のコミュニケーションなのだと気づかされた。
 今後は、大竹氏も言及している「カラオケにおける陶酔感」や、海外のカラオケ事情について調べてみたい。

 

 

4.【参考文献】

 

全国カラオケ事業者協会 (最終閲覧日:2011/11/24)
http://www.japan-karaoke.com/index.html

 

karaoke (entertainment) -- Britannica Online Encyclopedia  (最終閲覧日:2011/11/24)
http://www.britannica.com/EBchecked/topic/1379817/karaoke

 

大竹昭子(1997年)『カラオケ、海を渡る』筑摩書房

 

Count from 2013.10.23

 

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