卒業論文 日本人の「食」の思想

第一節 無意識の殺生から自覚的な殺生へ

第四章 現代日本人は「食」とどう向き合うか

 現在日本人は、生命の維持と快楽の追求のために、動植物を大量に殺している。しかし日本には殺生と向き合う思想がなく、多くの日本人が他者の命を奪っていることへの罪悪感に対して無防備な状態にある。この章では、現代日本人が納得できる「食」の思想の在り方を考えていく。

 

 まず、「何故殺生と向き合わなくてはならないのか」という問いに答えておく必要があるだろう。日本人は普段、動植物の死を意識しない。売られている肉を見ても、普通それを屠畜と結びつけて考えることはない。野菜を切り刻んでも、いちいち「さっきまでこのタマネギは生きていたのに、私が殺したのだ」などとは思わない。それで生活が成り立っているのだから、下手に罪悪感を刺激するようなことはせず、今まで通り曖昧にしておくのがいいのではないか、という意見が出ることは想像できる。

 私は、もしそれで日本人が苦しむことなく生きていけるなら、それでもいいと思っている。「自分の罪を自覚しろ」というような説教をするつもりは全くない。しかし、それで本当に人の精神衛生は保てるのだろうか。子供でも大人でも、ふと、この肉はどのようにして肉になったのだろうと気にする可能性がある。その気づきは、それまで動物を殺して食べているということなど一度も意識したことがない人を打ちのめすかも知れない。その時心を整理する手助けとなるような思想がなくて、本当によいのだろうか。

 今は、ネットで検索すれば屠殺についての生々しい情報が簡単に手に入る時代である。宮沢賢治のように屠殺場に行く機会がなくても、WEB上の動画で動物が屠殺される様子を見ることができるのだ。食べられる生き物の死は、以前ほど遠いものではなくなってきている。

 嫌なことは考えないようにし、時々思い出してはまた傷つくという受動的な態度は、心の傷を化膿させていく。精神の安定のためには、殺生をしてでも生きることを自分で「選択」することが必要だと私は考える。「選択」とは、動植物の命と自分の欲求を天秤にかけ、納得ずくで好きな方を選ぶことだ。例えば、「殺される動植物はかわいそうだが、飢え死にしたくないから食べる」「殺される動植物はかわいそうだが、おいしいものを食べたいので贅沢する」というように、「自分は他者の命より自分の欲求を優先したのだ」という自覚を持つ。そうすることで、少なくとも知らず知らずのうちに殺生を重ねていく漠然とした気味の悪さから解放されることができる。

 

 しかし、それだけでは罪悪感に対処することはできない。ただ殺生と向き合うだけではなく、自分の幸福のために動植物を利用することについて、納得のいく意味づけをしなければならない。

 第三章を見ると、日本人が最も納得して受け入れているのは「人間も動物も植物も同じく尊い命である」という生命観であるようだ。ならば、この生命観を利用して、筋の通った世界観を構築してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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―― 【 目 次 】 ――

 

要約

 

   
第一章 屠畜を経験しなかった日本
  第一節 肉食禁止令の真意
  第二節 穢れ観の肥大化
 

第三節 文明開化と畜産業の開始

 

第二章 殺生と向き合う思想の欠如
  第一節 「かわいそう」との出会い
  第二節 西洋における屠畜の正当化
 

第三節 仏にもすがれない

 

第三章 殺生それ自体が残酷であるという意識
  第一節 日本と西洋の動物観の違い
  第二節 菜食主義に「偽善」を感じる日本人
  第三節 アニミズムと如来蔵思想
 

第四節 肉も野菜も食べ続ける

 

第四章 現代日本人は「食」とどう向き合うか
  第一節 無意識の殺生から自覚的な殺生へ  現在地
  第二節 人間、動物、植物を同じ次元に置く
 

第三節 罪悪感の正体

 

 
参考文献  
謝辞  
   
資料1 ネット上での菜食主義議論
資料2 質疑応答(口頭試問)
 
 
 

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