2013年2月4日

古代西洋における二つの自由論 ~ストア派とエピクロス派~

 

※大学の授業で提出するレポートとして書いたものなので、参考程度にはなると思いますが、本格的に勉強するには不十分です。詳しいことが知りたい方はご自分でお調べください。

 

1.ストア派の自由論


古代ギリシャでは、すべてのことは逆らえない運命であると考えられていた。この運命観がストア派に大きな影響を与えている。


ストア派は、一つのロゴス(理性)によって自然物にロゴス(理法)が与えられていると考えた。

万物を支配する一つのロゴスは神と同一視され、それによって定められる自然の摂理、世界のすべての出来事は、逆らうことのできない運命として認識された。


自然物に与えられたロゴスは、単なる自然法則(理法)としてではなく、理性として捉えられた。

ロゴスが自然のすみずみにまで浸透しているということは、自然物の一つである人間もまた、理性を持っているということを意味する。そして、理性という「運命を支配する力」を有するのであれば、人間は自分の運命を自分で決めることができると考えられた。

 

その方法とは、自ら進んで運命に従うことである。

そのためにはまず、理性的な存在にならなければならない。

 

ストア派の始祖であるキティオンのゼノンは、快・不快を感じる感性(情念、パトス)を一切排除してアパテイア(無感不動)に至ることを理想とした。

純粋な理性の力によってのみ物事を判断し、感情の揺れを抑えることができれば、運命に従うために必要な「諦念」を得ることができるからだ。


何故「諦念」が必要なのか。

キケロによれば、ストア派はこの世には有徳な者と不徳な者の2種類しかおらず、有徳な者が不徳な行いをする自由も、不徳な者が有徳な行いをする自由もないと考えていた。

有徳なものが運命に従って有徳な行いをすることこそが自由なのである。

しかし、不徳な者が得をし、有徳な者が損をすることも多い。それでも心を乱さず運命に従い続け、自由であり続けるために、「諦念」が必要とされた。


まとめると、運命という大きな強制力に全面的・積極的に従うことこそが、ストア派の自由であった。
ただ、ストア派の論理には、理性(ロゴス)がすべてを支配しているはずなのに、どうして非理性的な情念(パトス)が生まれ、現に人間に備わっているのかという問題がある。

 


2.エピクロス派の自由論


ストア派が理性で情念や快楽を抑えつけ、強制力に従おうとしたのに対し、エピクロス派は感性を理性のくびきから解放し、強制力からも解放されようとした。


この違いは、エピクロス派がストア派と違って、自然法則の強制力は絶対ではないと考えていたことに起因する。

 

キケロによると、エピクロス派はデモクリトスの原子論のように、物質に最小単位(アトム)を設定していた。

人の心も含めた万物は、アトムから構成されている。

アトムの運動は基本的には垂直方向への落下運動だが、必ずしもそのように動くとは限らず、わきに逸れることもあるという。心を形成するアトムをそのように動かせば自由が得られるというのが、エピクロス派の自由論であった。


果たして自分の自由な意志で心のアトムを動かすことなどできるのかという疑問は残るが、少なくともエピクロス派は、人の心には運命に対抗する力があると考えていた。

そのため、ストア派のように諦念する必要も、情念を抑えつけてアパテイアに至る必要もなかった。

そこから快楽(※)を肯定する思想が発展した。

 

ちなみに、古代哲学のもう一つの大きな勢力であるアカデメイア派も、自由を自分自身の心にのみ従い、すべての外部的な強制力から解放されている状態だと考えていた。

 

※快楽といっても、酒池肉林的な放蕩のことではない。
エピクロス派は人生の唯一の目的を快楽(幸福)とし、何が本当の快楽なのかを哲学的に明らかにしようとした。
創始者のエピクロスは、心が平静で何者にも煩わされない穏やかな状態である「アタラクシア」を理想とした。その際に、心の平静だけでなく身体の健康をも重視していた点が、他に類を見ないエピクロス派の特徴である。

ほとんどの哲学は精神を重視し身体を軽視するものだが、心身ともに健康で穏やかでなければ真の幸福は得られないとしたエピクロスの考えは、斬新で現実に即したものであった。

 


3.まとめ

 

古代西洋では、自由とは何かという問題について、エピクロス派のように強制力(運命)から逃れようとする「~からの自由」と、ストア派のように運命に自ら積極的に従う「~への自由」が対立していた。

 

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