I'm a God

 

 僕は自分をこの世界の神だと認識している。
 なぜなら、世界は僕の一人称で進んでいくからだ。世界で僕だけが喜怒哀楽を享受し、思考する事ができる。これは、僕が主人公、つまりこの精神空間の主たる神だという事に他ならない。
 僕は雑踏の中を歩く。
 そこには無数の知的生命体「ヒト」が蠢いている。とすれば、絶え間なく思念が生み出されているはずである。しかしどうやら、人に足を踏まれて痛みを感じるのも、思いがけず美しい少女を垣間見て心をときめかせるのも、僕だけのようだ。僕は自分以外から発せられる思念を感知できない。この世界には僕の意識しか存在しないらしい。
 勘違いしないでほしい。僕はこれでも、会話相手の思念を感知しようと努力した。向こうにも僕と同じように心があるのだと考え、表情やしぐさから読み取ろうとした。悲しいのかな。怒っているのかな。それでも、それらの感情は僕の想像にすぎない。どんなに正確に読み取れたと感じても、それは僕の自己満足だ。他者の気持ちは、僕の世界には存在しなかった。
 これは大きな疑問となった。何故僕は僕であって、他の誰かではないのか。自分と他人の違いは何か。どうして世界は僕を中心に回るのか。他人が傷ついていても痛くないのに、僕が傷つくと痛いのは何故か。
 それだけではない。僕は世界を再構築する力を持っている。空が赤く染まっても、僕がそれを青と思う事にすれば、それはすなわち青空になる。例え人が泣いていても、僕がそれを喜びの涙だと解釈すれば、その瞬間僕の世界において彼は幸せになれる。
 もちろん、他人から見た空は赤いままだし、涙の主は彼の世界では幸せになどなれない。僕は神だが、他者に対する影響力はわずかにしか持っていないのだ。僕は僕の世界でのみ、神であり続ける。
 だが、誰も信じてくれない。

 

「自分が特別な存在だと思い込んでいるようですね。自意識過剰で自己顕示欲の強い性格。誇大妄想に取りつかれています。これからは、週に一回診察に来てください」

 

 人は一人ずつ異世界に住んでいる。そして、自分の住む世界の中では、誰もが神となる。地球上には六十億の神がいて、それぞれが世界を持っているのだ。神は特別な存在ではない。僕はただ、自分がそのうちの一人だと言っているだけだ。それがどうして気違いなのか。
 一つの同じ世界で人間は生きているのだと信じる大人が、あまりにも多い。それなら何故意識を共有できないのか説明してもらいたい。僕と貴方が違う存在だからだろう。個別の精神世界を持っているからだろう。まさか精神世界など存在ないなんて言い出さないだろうな。それならば、貴方の脳味噌はどこで思考しているか聞かせてほしい。精神世界という枠に囚われず、貴方という存在の外で考える事ができたなら、好きなだけ僕を変人扱いするといい。
 誰も聞いてくれないかも知れない。それでも、僕は世界の消失について警告しよう。
 人が一人死んだら、世界が一つ消える。あまりにも自然な事だが、これは大きな損失だ。ヒトが知的生命体である限り、僕たちは本能的に異世界の情報を欲している。貪欲な知の欲求を満たすには、異世界の神と交信するしかない。満たされない知の欲求は、時として言いようのない孤独さえもたらす。社会は平気で人を殺すけれど、その度に貴重な情報源が潰える事に気づいているだろうか。人間はもっと互いを尊重しなければならない。
 だから僕を敬え。
 その代わり、僕はどんな人間でも崇拝しよう。例え貴方が、世界中の全ての人から嫌われていたとしても。

 

 僕は何か間違った事を言っただろうか?

 

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