2010年11月4日 割とフランクな文章です。
「萌えは世界を救う」
とは、僕が去年書いた小説の副題ですが、どうやらそれが実現されつつあるようです。
日本人を最大限に侮辱するための中国語「日本鬼子」が、なんと日本人の手によって「ひのもとおにこ」という萌えキャラに擬人化されてしまいました。
詳細はニュースサイトにまとめられています。
http://www.terrafor.net/news_b5KEQ38vVa.html?right
【日本鬼子萌え化企画を紹介している動画】
まとめwikiもあります。
日本鬼子って萌えキャラ作って中国人を萌え萌えにしてやろうぜ まとめ@wiki
言葉の暴力に対して萌えで返す。さすが日本、これぞ日本、ですね。
おそらく中国では情報規制なんかでこういうことは隠蔽されていって、一部のオタク以外は鬼子ちゃんを知ることができなくなるのでしょうが……それでも、中国人に罵倒されてわぁわぁ騒いでいる無様な日本を見せるよりずっといいと思います。
他の先進国が中国に罵倒されたら、ネットは大荒れ、「武力抗戦だ!」と言いだす国民も出てくるでしょう。
一方日本は、剣もペンも取らない。軍事も言論も得意ではないことをわきまえているから。
けれど、黙って侮蔑の言葉を受け入れなければならないほど弱い国ではないことも知っています。
日本国民(オタク)は自分たちの力を理解している。
だから、剣でもペンでもなく、ペンタブを手に取って日本鬼子ちゃんを描くのです。
「日本鬼子」と罵られて、それに怒り狂うのではなく、さっと美少女を描いてみせるこの切り返し。
罵っていたはずの中国人オタクすら有無を言わさず萌えさせる、何にも勝るペンタブの力。
核兵器を使えば、恐怖で人の心を支配することができるでしょう。
しかし、その支配は脆いものです。信頼関係がなければ息の長い統治はできません。そのことは歴史が示しています。
それに比べて、萌えはどうでしょう。
たとえ戦渦にあっても、萌えは人々の心を照らします。
いがみ合っていても、萌えるものを目の前に差し出されれば萌えざるを得ないのが人間の性です。
そして、同じものを愛でているという連帯感が絆を生むと、僕は信じています。
萌えは世界を救うのです。
人類は土地や資源や思想を巡って争い、力をつけようとしてきたけれど、日本はもう次のステップに向かっているのではないかとさえ思います。
もちろん、萌えだけでは生きていけないのは事実ですが、新たな人類の在り方――
一種の「進化」を目の当たりにしている気分です。
もちろん、すべての人が萌えを受け入れているわけではないことは承知しています。
萌えなんて汚らわしい、いやらしい、風紀の乱れだ、そう考えている方もいらっしゃるでしょう。
ですので、
>罵っていたはずの中国人オタクすら有無を言わさず萌えさせる、何にも勝るペンタブの力。
という表現は誇張表現であることを明記しておきます。
さらに怒りを買っているという面も、間違いなくあります。
しかし、中国の萌えを愛する方々のほんの一握りだけでも「日本鬼子萌え擬人化」というこの現象に良い方向への興味を持ってくださったのなら、それは十分な成果だと考えています。
2010年11月8日 追記
否定的な意味を持つ言葉を肯定的な意味とすり替えるというこの手法、何かに似ていると思ったら、「忌み言葉」とおんなじですね!
「梨」が「無し」に通じるので、「ありの実」と呼んで不吉な意味合いを払う。
「日本鬼子」が言葉の暴力であるので、「にほんおにこ」と呼んで毒を抜く。
すごい、まさに日本の伝統だったんだ……。
古来の言霊信仰が無意識のうちに根付いているのかも知れません。
言葉の意味をすり替えて悪意を浄化するという対応は、罵ったことを水に流すということです。
鬼子ちゃん企画に賛同する人は反日主義者を許します。他の国では成し得ない方法によって。
その反面、中国の方々の訴えには聞く耳を持たないという意思表示にもなり得ます。
「俺たち初めから侮辱されてなんかないよ。だって日本鬼子は萌えキャラだもん」
こんな感じですよね。
冷静になって考えてみると、これは恐ろしい事態なのかも知れません。
鬼子ちゃんがいれば日本から中国への好感度は下がりませんが、中国の叫びを無視し続ける以上、反日感情は高まる一方です。
けれど日本人はその事態から目を背け、萌えキャラを描いて現実逃避……。
これでは「萌えは世界を救う」なんて甘いことは言っていられません´・ω・`
とは言え、中国側の要求を受け入れることはできませんから、日本人が取れる最良の策はやはり、侮辱語を萌え化してせめて自分たちは中国を憎まないようにすることなのでしょう。
日本鬼子萌え化は、日本人の心を怒りや憎しみといった穢れから守るための結界のようなものなのだと思います。
僕がこの企画を応援することに変わりはありません。
両国の一刻も早い和解を望んでいます。