2011年09月12日
※大学の授業で提出するレポートとして書いたものなので、参考程度にはなると思いますが、本格的に勉強するには不十分です。詳しいことが知りたい方はご自分でお調べください。
※参考図書として、『宗教学入門』(著・棚次 正和, 山中 弘)を与えられています。
※以下の文章は、原理主義の是非を問うものではありません。
◆
原理主義(ファンダメンタリズム)とは、狭義においては、キリスト教の一派を示す言葉である。
1910年代、アメリカでは自由主義的な聖書研究が盛んになりつつあった。
神の言葉に間違いはないとしても、聖書は人が書いたものなのだから、執筆者の恣意や思い込みが混入していてもおかしくないということで、聖書に議論の余地を見出したのである。
そのような風潮に抵抗して生まれたのが、聖書の内容はすべて正しいと主張する原理主義である。
また、1960年代にはフェミニズムやフリーセックスなどのカウンター・カルチャーが興隆し、WASPの伝統や「古き良きアメリカ」に崩壊の危機が訪れた。
このことに対する危機感が、さらなる原理主義の推進につながった。
原理主義の特徴は、三つの「げんてん」主義で表すことができる。
一つ目は「原点」主義。
キリスト教の新しい解釈や変革を認めず、原点に回帰しようとすることである。
二つ目は「原典」主義。
聖書は神が人に書かせたものなので一字一句漏れなく真実だという逐語霊感説を唱え、聖書に書かれている奇跡はすべて文字通り実現したことであると主張することである。
原理主義者は進化論を信じず、神が直接ヒトを作ったと信じている。
三つ目は「減点」主義である。
現状が過去よりも劣っていると考え、かつての正しい在り方を取り戻そうとすることである。
原理主義には排他的で攻撃的な一面もあるが、価値観の多様化によって自分のアイデンティティや価値観が脅かされていると感じる人がいて、精神的安定のために原理主義の考え方を必要としているということを考慮しなければならない。
さて、原理主義という言葉は、今ではキリスト教以外の宗教にも使われるようになっているが、原理主義という概念をキリスト教以外の宗教に適用することには慎重であるべきだという説もある。
例えば、原典主義を原理主義だと言うなら、イスラム教徒はクルアーンを絶対視しているから全員原理主義ということになってしまうからだ。
私は、原理主義という言葉を他の宗教に使う場合には、必ずしも原典主義かどうかを問わなくてよいと思う。
理想的な宗教の在り方を過去に見出し、その時代まで価値観を巻き戻すことを目標とすること、あるいは、異文化や新しい価値観の流入を忌避して古い教えを頑なに守ろうとすることを、原理主義と呼べばいいのではないだろうか。